勇気の缶づめ

灼熱の大地、
どこまでも続く地平線。
ひたすらつづく道。赤茶けた砂。

1990年代初頭、僕はオーストラリアにいた。
SUZUKI DR250Sに乗って。

o31.jpg

漂う死臭。
トレーラーにはねられたカンガルーの死骸。
同じく、牛の死骸。
並走するエミュー。
自然発火のブッシュファイヤー。

見渡す限りの地平線。
日が暮れる前にテントを張る。
日が昇ると目が覚める。
僕の背後に沈んだはずの太陽が、
僕の目の前から現れる。

オーストラリア。

そこに一冊のノートがあった。

南十字星。Southern Cross。
そのノートの名前は、
サザンクロスに引っ掛けて、「サンザンクロースルノート」。(散々苦労するノート。)

オーストラリアを旅する日本人の思いのたけが綴られ、人から人へと手渡される。
いつもどこかを誰かと旅しているノート。
いつから始まり、もう何代目のノートになるのかもわからない。

ノートが一杯になった時に、そのノートを手にしていた人が、
責任をもって日本に持ち帰る。
そして、ノートの記載人たちを日本で収集する。
そんなことになっていた気がする。


そんなノートに書かれていた、
「勇気の缶づめ」。
読んだ時、ハッとして、スッ-と腑に落ちた。
あの時の自分。
  
 

― 勇気の缶づめ ―

  勇気の缶づめを買ってきた

  ずっと使わず、机の中に入れておいた

  ある日、とても落ち込んだ時

  その缶づめを開けてみた

  中になにか書いてある

  「ヨワムシ! ボクニタヨルナ!!」




関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ててろう

Author:ててろう
山の生活を楽しみたい。
薪割り、草刈り、鳥の声・・。
やることは山ほどあって、生きるって忙しいんだって、そんな当たり前の事を知りました。

更新通知登録ボタン

更新通知で新しい記事をいち早くお届けします

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム
お問い合わせ

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
これまでの訪問者