炎
揺らめく。炎。

火が燃えるのを眺めていると、ゆったりしてくる。
うっとりしているのかもしれない。
いづれにしても、気分はいい。
寒さが厳しい季節になってきた。
外は、水分があるものが、ことごとく凍る季節。
そんな時期、体を暖めてくれるのが、薪ストーブ。
春から準備した薪の登場だ。
キャンプで焚火をしたときのように、薪ストーブもまた、炎の揺らめきに目が釘付けになる。
体にしみる暖かさを感じながら、炎の揺らめきを眺めていると、なんともリラックスした気分になる。

最近、薪をくべられるように成長した子供たち。時折薪をくべながら炎をジッと見つめている姿を見る。
「この子は、炎を眺めながら、まだ小さい胸の中で何を想っているのかな。」
なんにも話しかけず、ただただ想いを巡らす。
贅沢な時間。
家の建設途中で、無理やり住み始めた頃、すぐにやったのが、すぐやってくる冬にむけての薪ストーブの設置だった。
部屋の中央に、まだ小さかった長男と一緒に炉台をつくり、煙突をつなぎ薪ストーブを置いた。
もちろん楽しみにしていた初めての火いれ。家の中で火をつける。
慣れてなくて、ちょっと怖かった。いいの?ほんとうに。家の中だけど。
あれから10年。
すっかり火入れには慣れた。薪ストーブは冬の間中、燃えている。
お風呂も薪で沸かしているので、毎日火をおこす。こちらは風呂釜の炎。

子供達も、だんだん焚きつけが出来るようになり、慣れた手つきで火をおこす。
それでもやっぱり見ていてあげないと、いけないけど。
屋外にも、火をつけることがある場所がある。
石窯(アースオーブン)だ。
こちらは、炎を眺める楽しみより、食べる楽しみのほうが大きいかな。

火とともに暮らす。というより、火によって暮しが成り立つわけで、子供達にもその経験をさせたいと思ってた。
もっと言ってしまうと、自分がその経験をしたかった。
人類が火と共に進化してきたといわれるように、火は人にとって無くてはならないものだけど、一歩間違えば全てを奪われてしまうほどの恐さもある。
そこのところまでちゃんと身に染みるほど理解しなきゃならない。
やっぱり経験が一番だ。経験しかない。
暖かさをくれる。
その炎の揺らめきで、癒しをくれる。
おいしい物を与えてくれる。
火は「自然現象」だと、何かで読んだけれど、そんな呼び方ではしっくりこない。
火は、恵みだ。
バチが当たらないように、感謝していただこう。
慣れてその感謝を忘れないように。