手仕事を考える ① てずくな
『てずくな』
という言葉がある。
長野県に来てから初めて知った言葉。
なんか響きが良いな、と思う。
こちらの言葉で「手作り・手仕事」の事を言うのだけど
今でも時々、目に、耳にすることもある、大事にされている。
昔は当たり前だった手作り、手仕事。
自分でつくった米や味噌。それは大事にしたんだろう。
種まきから、収穫、味噌ならその後の加工まで、自分で手をかけ苦労して。
そうして手にしたものを、粗末に扱えるはずがない。
例えば、自分が作った、他の誰かが使う生活の道具や家具。
その使う人たちが、大切に大事に使ってくれると分かっていれば、慎重に誠実に作ろうと思えたはず。
きっと誇りも持っていたに違いない・・。

(例えば刃物を研ぐ時も、よりよく作ることを願いながら・・)
つまりは、経験して、実行して、想像して、思いやって、苦労して、喜びを得て。
手作りってそんな要素をすべて手にすることができるわけで。
だから魅力を感じるのだろうな。
でも今の世の中では、「手作り・手仕事」が何か特別なものになってきてしまったのは、間違いない。
手作りパン、手作り家具、手縫服・・・、響きが良くって気になるけど、ちょっと特別、ちょっと割高。
そんなイメージかなぁ。
希少になったから特別、なのかもしれないけど、
こんな時代だからこそ、希少性や貨幣価値だけで「手作り・手仕事」を捉えない。
「手作り・手仕事」がもたらす意味は、
今風に言えば、
使い手からは、エコであり持続可能(サスティナブル)である。
作り手からすれば、人の役に立ち、何かに負荷をかけることなく、なおかつ誇りも持てる。
それらが生活にどう関わってくるか、
考えると意外に大きなことだとは思えないだろうか。
叫ばれる地球環境の変化に対してだとか・・・。